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第22回(2018年) シェイクスピア・スクールズ財団(イギリス)

[ 選考担当 ] クリストファー・パッテン国際顧問(イギリス)

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Courtesy of SSF

 世界最大の若手演劇祭「シェイクスピア・スクールズ・フェスティヴァル」を2000年から主催しているイギリスの文化教育団体。シェイクスピアの言葉と物語を通じて、若者に自信と自尊心を持たせ、成長を手助けする。

 毎年秋に開催される演劇祭には、少数民族の生徒や貧困地域を含む小学校、中学校、特殊学校など、イギリス全土の1000校から約3万人の若者(7−18歳)が参加。事前に各学校でワークショップを開き、教師の訓練を行うので、教師も演劇や英語の専門家である必要はない。

 演劇祭は2カ月開かれ、一晩に3校か4校が、130カ所以上の劇場の舞台で『マクベス』、『ロミオとジュリエット』、『テンペスト』など簡易版のシェイクスピア劇を上演する。計6万5千人以上が観劇し、多くの場合、観客にとってもシェイクスピア作品に触れる最初の機会になっているという。

 財団代表のルース・ブロックさんは「シェイクスピアの卓越した物語、美しい言葉は400年も生き続けてきました。シェイクスピアは人間の有り様について重要な事柄を扱っており、若者たちは愛情、争い、戦争、憎しみに関する問題を理解することができます。シェイクスピアが若者にとって今日的な意義を持つ理由です」と語る。

 昨年の演劇祭に参加したロンドンの生徒は、「シェイクスピアの言葉によって、さまざまな国籍、年齢、能力を持つ人たちが団結できることを意識するようになりました」と振り返る。

 演劇祭には、この17年間に計25万人の若者と教師が参加した。2016年には、シェイクスピア没後400年記念としてウェストミンスター寺院などでも上演している。

 演劇界からトム・ストッパード(2009年世界文化賞受賞者)、ジュディ・デンチ(2011年世界文化賞受賞者)も活動を支援している。ストッパードは演劇祭のために『ヴェニスの商人』を脚色してくれたという。

 2016年から財団組織となり、財団理事長のアンドルー・ジャクソンさんによると、財団の資金源は、演劇祭に参加する学校の登録料が半分を占め、25%を興行収入とプログラム、Tシャツなどの販売収入、残りの25%を寄付で賄っている。ジャクソンさんは「シェイクスピアのテーマは時代、国籍を超えた普遍的なもので、末永く生き続けていくでしょう」と、シェイクスピア劇を通じた財団活動に自信を深めている。