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第18回(2014年) ジンスー財団(ベナン)

[ 選考担当 ] ジャン=ピエール・ラファラン国際顧問 (フランス)

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アフリカ西海岸、ベナン共和国の名門、ジンスー家の出身、マリー=セシル・ジンスーさんが2005年、21歳の時にベナン最大の都市、コトヌーに設立した 文化芸術の振興財団。現代アフリカ美術作品の展示、「美術教室」の開催、文化芸術を通じての教育促進など、その積極的な活動は、アフリカのみならず、欧州 からも注目されている。

財団本部の展示室では、これまでに23回のアフリカ美術作品の展覧会を開催したが、昨年11月、コトヌーから西方30キロの"奴隷貿易"の町、ウィダに、 サハラ以南初の現代美術館を開館させた。90年前の古い2階建て邸宅を美術館に改修したもので、現代アフリカ美術作品90点を常設展示している。

財団創立者で会長のジンスーさんが2年前、香川県の直島を訪問した際、空き家を改修して美術作品を展示する「家プロジェクト」にヒントを得たという。ジンスーさんは1000点の現代アフリカ美術作品を所蔵しており、"直島方式"でさらに美術館を増設する計画だ。

文化芸術の教育プログラムとして、財団は毎日、カラフルな「文化バス」で本部の展覧会見学の生徒の送迎を行い、また、週2回「美術教室」を開いて絵画など の制作方法を指導。さらに、コトヌー市内6カ所に「ミニ図書館」(蔵書各2000冊)を開設し、週1回はそこで映画の上映会を開催。3年前から 「現代ダンス・フェスティバル」も主催している。

こうした財団活動への参加費は全て無料。参加者は子供を中心に、これまでに延べ460万人を数えるという(ベナンの総人口1000万人)。財団職員は計 85人。財団の運営資金は年間100万ユーロ(約1億4000万円)で、当初はジンスー家から出ていたが、現在は国際企業50社から寄付も集まっている。

著名なアフリカ人アーティストも財団の活動を支援している。ガソリン缶のマスク作品などで欧米でも人気のベナン人彫刻家、ロミュアルド・ハズメさん (52)は、財団発足時の第一回展覧会に作品を提供したが、来年の財団創立10周年記念イベントにも全面的に協力するという。

テレビでおなじみのゾマホン駐日ベナン大使は、コトヌーの財団本部近くに「たけし日本語学校」を創設(2003年)している。ジンスーさんは「日本語学校 はベナンと日本との架け橋で、ゾマホンさんはベナン国より有名。財団にもよく激励に来てくれるし、今後も協力していきたい」と語る。ゾマホン大使も「ジンスー財団の活動を通じて、文化芸術面からベナンとアフリカを知ってもらえるのは素晴らしい」と話している。