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第15回(2011年) ロイヤル・コート劇場若手劇作家プログラム

[ 選考担当 ] クリストファー・パッテン国際顧問

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18歳から25歳までの若手劇作家を養成するためのイギリスの名門劇場、ロイヤル・コート劇場のプログラム。「若手劇作家が作品を書くのを奨励するため、その作品を積極的に上演していく」という同劇場の方針を反映し、1991年からスタートした。

このプログラムには、3ヶ月ごと(3月、9月、12月の1日開始)に15人前後が参加。参加者は週一回、同劇場で開かれる講習会で、脚本を朗読したり、討論したり、それぞれが脚本を書いたりと、劇作家としての基礎を学ぶ。誰でも参加でき、費用は100ポンド(約13500円)。昨年夏には日本人も参加した。

 プログラム担当者のレオ・バトラー(1999年に参加)は「前半はなぜ書くのか自らに問いかけ、コース半ばで、全員が何らかの作品を仕上げる。手を入れる必要があるかもしれないが、少なくとも芝居と呼べるようなものを書かせる。後半には、グループごとに各作品を吟味していく」と語る。

2009年の演劇・映像部門の受賞者、トム・ストッパードなど有名劇作家、監督、デザイナー、振付師などを招き、話を聞く機会も設けている。

2010年に同劇場が公演した作品の半数はこのプログラムが生んだ若手劇作家のものであり、特にルーシー・プレブルの『エンロン』はウエスト・エンドに進出、ヒット作となった。

現在の同劇場は1878年にロンドンのスローン・スクエアにオープンしたが、創立以来、「劇作家のための劇場」として、若手劇作家の発掘と育成に力を注ぎ、新作を多く取り上げてきた。毎年、若手劇作家フェスティヴァルも開催、そこで上演する作品を募集しているが、今年はその対象年齢を8歳まで引き下げたという。

同劇場の文学マネジャー、クリストファー・キャンベルは「英国は他の国と比べ、劇場と劇作家の重要性が高く、文化的影響力が大きい。観劇が文化に根付いている。新しい世代の劇作家を見出し、その作品を上演することが基本的な役割」と強調している。