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第22回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者 発表 / 第14回 若手芸術家奨励制度 発表

2010.9.14

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第22回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者 発表
第14回 若手芸術家奨励制度 発表

世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(財団法人 日本美術協会主催)の第22回受賞者が、9月14日(日本時間14日18時)、ロンドン、パリ、ローマ、ベルリン、ニューヨーク、そして東京の各都市で発表されました。
今年の受賞者には、カンヴァスに釘を使って凹凸をつけ、幾何学的なリズムを表現したエンリコ・カステラーニ、身体表現をはじめ動力装置を伴ったインスタレーションで特異な表現の世界を切り開いたレベッカ・ホルン、建築と自然、環境との関わりを重視し、都市と建築を新たな地平に引き上げた伊東豊雄、幅広いレパートリーと選曲で音楽解釈の分野に金字塔を打ち立てたピアニスト、マウリツィオ・ポリーニ、「世界映画の宝」として称賛され、今なお存在感とオーラを発揮している女優、ソフィア・ローレンの各氏が選ばれました。
また、同時に発表される第14回若手芸術家奨励制度の対象団体には、香港を拠点に活動する「アジア ユース オーケストラ」が選ばれました。

授賞式典は、日本美術協会総裁の常陸宮殿下、同妃殿下ご臨席のもと、10月13日(水)に東京・元赤坂の明治記念館で行われ、5部門の受賞者には、それぞれ顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られます。若手芸術家奨励制度の対象団体には、奨励金500万円が贈られます。

各部門受賞者は 下記の通りです。

第22回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者
THE 2010 PRAEMIUM IMPERIALE RECIPIENTS

■絵画部門    エンリコ・カステラーニ (イタリア)
■彫刻部門    レベッカ・ホルン (ドイツ)
■建築部門    伊東 豊雄 (日本)
■音楽部門    マウリツィオ・ポリーニ (イタリア)
■演劇・映像部門  ソフィア・ローレン (イタリア)

第14回 若手芸術家奨励制度
■アジア ユース オーケストラ (本部・香港)

絵画部門 Painting
エンリコ・カステラーニ Enrico Castellani
1930年8月4日、イタリア・カステルマッサ(ロビーゴ)生まれ
カンヴァス表裏に釘を打ち込んだ三次元の作品は、「光の絵画」と呼ばれる。陰影で表情を変える作品は、見る者の知覚と心理状態を反映する鏡ともなる。「私の作品は、何かを訴える必要はない」と、主観性を排した規則的な凹凸の表現スタイルを、半世紀にわたり守り続ける。イタリア北東部のカステルマッサに生まれ、ベルギーで彫刻と絵画、建築を学ぶ。帰国後は、ピエロ・マンゾーニらと前衛美術誌を創刊し、画廊を創設。1959年の《レリーフ状の黒い表面》で現在に繋がる立体的表現にたどり着き、絵画の新境地を拓いた。以後、ヴェネツィア・ビエンナーレ(1966)など、世界各国の展覧会で国際的評価を確立。2001年にミラノのプラダ財団、2005年にはモスクワ・プーシキン美術館でも個展を開いている。今回が初めての来日。

彫刻部門 Sculpture
レベッカ・ホルン Rebecca Horn
1944年3月24日、ドイツ・ミヒェルシュタット生まれ
詩、彫刻、絵画、映像などあらゆる表現手段を横断しながら、内からわき出る物語を発展させる「変身の芸術家」。特に彫刻は、花のように開閉する羽など、生命を宿しているように動く。「物体による一種の演劇に立ち会っているような気にさせ、そのスタイルは今日の芸術を豊かにした」との評も。他者との交流を求めるような作品群は、若き日の療養生活が影響している。肺を患って入院生活で膨らんだ交流への渇望が、身体の一部が延長したような「動く彫刻」に繋がった。1975年にパリ・ビエンナーレに参加して以降、現代美術の最先端を走り、世界の名だたる国際展の常連として活躍。中でも1987年に制作した《逆向きのコンサート》では、ドイツ北部で閉鎖されていたナチスの捕虜処刑所跡を作品として開放し、1997年から永久保存作品になっている。昨年10月から今年2月まで日本初の回顧展も開催された。

建築部門 Architecture
伊東 豊雄 Ito Toyo
1941年6月1日、京城(現ソウル)生まれ
伊東豊雄は、革新的な概念を生み出しながら、変わり続ける建築家である。東京大学建築学科在学中のアルバイト先だった菊竹清訓建築事務所に就職。4年後に独立開業し、住宅設計を中心に手がける。自邸の『シルバーハット』で日本建築学会賞。「建築を軽く」という、それまでになかった方法論で注目を集め、商業施設や公共建築にも活躍の場を広げた。2001年にオープンした複合施設『せんだいメディアテーク』が絶賛されて“時代の寵児”となり、柔軟な発想と実行力で建築界を牽引している。『TOD’S表参道ビル』(2004)のように斬新な建築様式に挑んだかと思えば、『座・高円寺』(2008)のように、デザイン性の強い、楽しさや明るさを打ち出した作品も手がける。最近は、台湾、スペインなど海外プロジェクトが8割を占める。建築と自然、環境との関係を重視する作品は、国際的に注目されている。

音楽部門 Music
マウリツィオ・ポリーニ Maurizio Pollini
1942年1月5日、イタリア・ミラノ生まれ
誰もが認める現代最高のピアニストの一人。ショパンなどロマン派や古典の演奏で定評があるが、現代音楽の語り部の使命も果たす。「建築や絵画などと違い、現代音楽は生活の一部になっていない」とルイジ・ノーノやピエール・ブーレーズら20世紀以降の音楽をレパートリーに組み入れ、披露し続ける。5歳でピアノを始め、18歳で出場したショパン国際ピアノコンクールで審査員全員一致での優勝。一時、演奏活動から遠ざかるが、1968年の再デビューで世界にセンセーションを巻き起こし、以後、ピアニストの頂点の座を保ち続ける。ベートーヴェンのピアノ・ソナタの全曲演奏や、自ら企画した「ポリーニ・プロジェクト」での新旧作品を並べた個性的なコンサートが評判になった。日本では1974年の初公演以降、昨年までに計16回公演しており、今年も10月17、23日、11月3日に東京公演を行う。

演劇・映像部門 Theatre/Film
ソフィア・ローレン Sophia Loren
1934年 9月20日、イタリア・ローマ生まれ
「イタリアの太陽」とたたえられる美貌と、圧倒的存在感を保ち続けるイタリアを代表する女優。100本超の出演作でケーリー・グラントらそうそうたる俳優と共演。昨年の『NINE』でも、知性で磨き上げた美しさと変わらぬオーラでファンを魅了した。長年の映画界への貢献は、1991年のアカデミー賞名誉賞でも称賛されている。14歳で女優の道を志し、夫となるプロデューサー、カルロ・ポンティに見いだされて飛躍。ネオ・レアリスモ映画を代表するヴィットリオ・デ・シーカ監督の『ふたりの女』(1960)でイタリア人女優初のアカデミー賞を受賞。さらにマルチェロ・マストロヤンニと共演した『ひまわり』(1970)、『特別な一日』(1977)などで演技派女優として確固たる地位を築いた。100本目の出演作『微笑みに出逢う街角』(2002)の監督は二男、エドアルド・ポンティ(37歳)。また、長男は指揮者のカルロ・ポンティ・ジュニア(41歳)。

第14回若手芸術家奨励制度
2010 GRANT FOR YOUNG ARTISTS
アジア ユース オーケストラ
本部・香港
選考:中曽根康広国際顧問(日本)
Selected by International Advisor Nakasone Yasuhiro (Japan)
日本、中国などで音楽教育者や指揮者などを務めていた米国人、リチャード・パンチャスが、1987年、ヴァイオリン奏者兼指揮者の故ユーディ・メニューインと共に、香港実業界の支援で香港に設立。アジアの青少年にオーケストラで演奏する機会を提供し、有名アーティストとの共演やツアーを通じて、成長していくことを目的とする。毎年、アジア各国の17歳から27歳までの若者約1000名の中から、オーディションで100名を選出。3週間にわたる香港での夏期リハーサル合宿の後、国際的に活躍する著名な指揮者やソリストと3週間のコンサート・ツアーを行う。1990年の初回公演以来、昨年までに世界76都市で307回公演。20周年に当たる今年は、8月7日から28日まで、深圳、香港、ソウル、北京、天津と、日本の佐賀、別府、京都、東京で公演を行った。