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第21回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者 発表 / 第13回 若手芸術家奨励制度 発表

2009.9.24

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優れた芸術の世界的な創造者たちを顕彰する「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催・財団法人日本美術協会=総裁・常陸宮殿下)の第21回受賞者が決まり、ローマ、ロンドン、パリ、ベルリン、ニューヨーク、東京で発表されました。

第21回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者
THE 2009 PRAEMIUM IMPERIALE RECIPIENTS

■絵画部門    杉本 博司  (日本)
■彫刻部門    リチャード・ロング   (イギリス)
■建築部門    ザハ・ハディド  (イギリス)
■音楽部門    アルフレート・ブレンデル  (オーストリア)
■演劇・映像部門  トム・ストッパード  (イギリス)

第13回 若手芸術家奨励制度
■クレメラータ・バルティカ
(ラトビア、リトアニア、エストニア)

授賞式典は、日本美術協会 総裁の常陸宮殿下、同妃殿下ご出席のもと、10月22日(木)に東京・元赤坂の明治記念館で行われ、5部門の受賞者には、それぞれ顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られます。若手芸術家奨励制度は、9月24日、ベルリンでの受賞者発表の席上、奨励金500万円が贈られました。

絵画部門 Painting
杉本博司 Sugimoto Hiroshi
1948年2月23日、東京生まれ
大判カメラを使い、「時間」や「歴史」を想起させる洗練された作品を発表し続ける。東京に生まれ、米ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学ぶ。ジオラマ展示を本物の風景のように撮影した《ジオラマ》や、米国内の古い映画館のスクリーンを映画一本分の露光時間でとらえた《劇場》など、明確なコンセプトと高い技術に支えられた作品は、1970年代後半から国内外で高い評価を受けてきた。世界の海を同一構図で写した《海景》シリーズは、今春、ロックバンドU2のCDジャケットに使われ話題に。作品は多岐にわたるが、絵画や彫刻に比べて歴史が浅い写真というメディアの可能性を追求する姿勢は変わらない。文化財団の設立準備や評論の執筆など、活動の場は年々広がっている。

彫刻部門 Sculpture
リチャード・ロング Richard Long
1945年6月2日、イギリス・ブリストル生まれ
約40年間にわたり世界中の山や草原、海岸を歩き、その痕跡を彫刻作品としてきた。自らの身体行動を通じた新たな彫刻観を打ち出すとともに、従来の造形主義的な彫刻を大きく変革させることに貢献した。1960年代に故郷ブリストルやロンドンの美術学校で学んだ後、自然と人間との関係をテーマに作品を制作。「ランド・アート」の代表的な作家として知られる。木や石といった自然の素材を使って、円や線などの形を作り記録に残す独特の手法で、次世代の芸術家にも大きな影響を与えた。89年、英国の現代芸術界で最も権威あるターナー賞を受賞。今年6月から9月まで、ロンドンのテート・ブリテンで約70点の作品を集めた大規模展覧会を開催。64歳となった現在も世界各地で新たな挑戦を続けている。

建築部門 Architecture
ザハ・ハディド Zaha Hadid
1950年10月31日、イラク・バグダッド生まれ
イラク・バグダッド生まれで、11歳から建築家を志望。ロンドンで建築を学んだ後、30歳でロンドンに建築事務所を開設。かつては、「建てた建築よりも、実現しなかったプロジェクトの方が有名」といわれたが、初の公共建築『ヴィトラ社消防署』(独、1994)の建設を皮切りに、独創性と構想力が見直され、大型建築が次々に完成。2004年には“建築のノーベル賞”といわれるプリツカー賞を女性で初めて受賞した。ハディドの建築は、幾何学的な曲線、直線、鋭角が織り成す、流動的でダイナミックな外観が特徴。2012年完成予定のロンドン五輪水泳センターのほか、中東、欧州や中国、台湾、ロシアなどで各種プロジェクトの建設が進行中。インテリアと家具のデザインにも力を入れ、日本では札幌のレストランと東京のブティックの内装も手掛けた。

音楽部門 Music
アルフレート・ブレンデル Alfred Brendel
1931年1月5日、チェコスロバキア(現チェコ)生まれ
ドイツ・オーストリア系音楽の権威として知られる世界的なピアニスト。知的で正統的な解釈による演奏で多くの音楽ファンを引きつけてきた。幼少のころからユーゴスラビアとオーストリアで音楽を学び、18歳でブゾーニ国際コンクールに4位入賞。1971年からロンドンに居を移し、卓越したピアノの名手として演奏会とレコーディング界で幅広く活躍。多彩なレパートリーのなかでも、シューベルトのソナタやリストのピアノ作品のレコーディングは、2人の偉大な作曲家の真価を世界に再認識させた。ベートーヴェンのピアノ曲を全曲録音した最初のピアニストでもある。音楽に関する著述も数多く、クラシック音楽の演奏家や聴衆の音楽に対する理解を一層深めたことでも高い評価を得た。昨年12月に引退。

演劇・映像部門 
トム・ストッパード Tom Stoppard
1937年7月3日、チェコスロバキア(現チェコ) 生まれ
チェコのユダヤ系の家系に生まれた世界的な劇作家。ナチスの迫害を逃れて祖国からシンガポールへ移住し、10歳のとき、母親と共にインドから英国へ渡る。地方の新聞社を経てフリーのジャーナリストとして働きながら、テレビやラジオ劇の作品を執筆。1967年にロンドンで初演された『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』が、現代演劇を代表する傑作として高い評価を獲得、翌年トニー賞を受賞。劇作のほか映画の脚本や翻訳・翻案作品の台本も多数手がけ、幅広い分野で才能を発揮している。98年の『恋におちたシェイクスピア』はアカデミー賞脚本賞をはじめ、世界各国の映画賞を受賞。今年9月12日から10月4日まで、上演時間9時間を超える大作『コースト・オブ・ユートピア』が、蜷川幸雄演出で日本初演。

第13回若手芸術家奨励制度 
2009 GRANT FOR YOUNG ARTISTS
クレメラータ・バルティカ Kremerata Baltica
ラトビア、リトアニア、エストニア
選考:オットー・グラーフ=ラムスドルフ国際顧問(ドイツ)
Selected by International Advisor Otto Graf Lambsdorff (Germany)

バルト三国のラトビア・リガ生まれのヴァイオリン奏者、ギドン・クレーメルが1997年、バルト三国の優秀な若手演奏家を集めて結成した室内管弦楽団。クレーメルがソリストと芸術監督を務め、自らの幅広い音楽経験をバルト三国の若手演奏家に伝えるとともに、旧ソ連からの独立後に高まったバルト三国の音楽・文化に対する独自の機運や帰属意識を促進していく狙いも込めている。楽団の組織はラトビア文化省に所属し、楽団員25人(平均年齢28歳)にはサラリーが支払われる。リトアニアとエストニアの各文化省も支援している。2002年にはレコーディング部門でグラミー賞を受賞した。バルト諸国のほか、世界各地を巡る年5回のツアーで計60のコンサートを開催。2004、07、08年の来日公演に続き、今年11月にも名古屋、東京、大阪で公演。