第17回
2005年
絵画部門
Robert Ryman
ロバート・ライマン
正方形というフォーマットに白一色で描かれた作品群から“白の画家”と呼ばれる。「何を描くかではなく、どのように描くかが常に重要」と語る。支持体と呼ばれる画材は、紙やキャンバスにとどまらず、金属まで使われる。「絵具や絵筆がどう機能しているのかを解明することに興味がある」と語るが、こうした見方が、白と正方形を使った表現形態に結びついた。作画的な意図というよりむしろ、素材や質感、大きさといった物質的側面に鑑賞者の目を向かせる仕掛けでもある。また、塗りは作品によって姿を変え、ときに音楽的でもあり、陰影を生み、反射を生み、白という色に無限の色彩を感じさせる。2004年に川村記念美術館で回顧展が開催された。
略歴
正方形というフォーマットに白一色で描かれた作品群。ライマンは「白の画家」と呼ばれるが、「何を描くかではなく、どのように描くかが常に重要」と語る。
米国南部のナッシュヴィルに生まれ、兵役の後、ジャズ・ミュージシャンを志して、1952年にニューヨークへ。生計を立てるため、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で警備の仕事に就いたことが転機となった。
「セザンヌ、マチス、ピカソ…。あらゆる絵画を見て、目にするものすべてに関心を持った」
画家の道を歩むようになったライマンは、紙やトレーシング・ペーパーに鉛筆や油絵具を使った作品を制作。支持体と呼ばれる画材は、紙やキャンバスにとどまらず、木、ファイバーグラスのほか、スチールや銅、アルミといった金属までバラエティに富む。
「絵の主題には興味がない。絵がどう構成されているかに面白さを感じる。絵具や絵筆がどう機能しているのかを解明することに興味がある」と語るが、こうした見方が、白と正方形を使った表現形態に結びついた。
正方形については、「私はイメージを描くわけではないので、一般的な画家が使う、空間構成を得やすい長方形よりも、正方形の空間の方が制作に向いている。これ以上、完璧な空間は存在しない」と語る。
白は素材や質感、大きさといった物質的側面に鑑賞者の目を向けさせる色でもある。「雪が降れば、フェンスや建物がくっきり浮かび上がるように、白は、普段気づかない微妙なニュアンスやモノが見えるように、目障りなものを除いてくれる」と説明する。
ライマンの塗りは作品によって姿を変え、ときに音楽的でもある。筆致は、陰影を生み、反射を生み、白という色に無限の色彩を感じさせる。
67年のニューヨークでの初個展以来、72年のグッゲンハイム美術館を皮切りに、世界各地の主要美術館で回顧展が開催された。
略歴 年表
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ニューヨークのアトリエにて
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逆説的絶対(1958)
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広げたデッサン(1963)
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駅 (1969)
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タワーⅠ(1976)
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ペア・ナビゲーション(1984)
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ベクトル (1975/1997)