第35回
2024年
音楽部門
Maria João Pires
マリア・ジョアン・ピレシュ
ポルトガル出身のピアニスト、音楽家。3歳でピアノを始め、4歳で初舞台を踏む。リスボン国立音楽院でカンポス・コエーリョに師事し、作曲と音楽理論をフランシーヌ・ブノワから学んだ。その後、17歳で奨学金を得てドイツに留学し、ピアニストのローズル・シュミット、カール・エンゲルに師事。1970年、ベートーヴェン生誕200周年記念コンクールで優勝し、本格的な演奏活動を始める。教育活動や社会活動にも熱心で、祖国に「ベルガイシュ芸術センター」を設立し、子供たちのための合唱団や、プロ・アマを問わずアーティストのためのワークショップを開催してきた。若い頃に日本で演奏録音をした縁もあって、大の親日家で、NHK教育番組でピアノレッスンの講師をしたことがある。現在も、演奏活動の合間に世界各地で若手ピアニストを指導している。
略歴
現代を代表するピアニストの一人だ。3歳のときに独学でピアノを始め、4歳で初舞台を踏む。譜面を読むより先に、曲を耳で覚えて弾いていたという。
1953年から1960年までリスボン国立音楽院でカンポス・コエーリョに師事し、作曲と音楽理論をフランシーヌ・ブノワから学んだ。17歳でグルベンキアン財団の奨学金を得てドイツに留学し、最初はミュンヘン音楽大学でローズル・シュミッドに、その後、ハノーバーでカール・エンゲルに師事。エンゲルが人生に音楽を位置づける手助けをしてくれたという。そして、「音や呼吸など大切なものは、技術以前に存在します。私は手が小さかったし、イマジネーションを実現するには、知識や技術だけではなく身体全体を使う必要がありました」と、独自の奏法を模索した。
1970年、ベートーヴェン生誕200周年記念コンクールで優勝。1986年にロンドンのクイーン・エリザベス・ホール、1989年にニューヨークのカーネギー・ホールでリサイタル・デビューを果たし、国際的なキャリアをスタートさせる。フランスの人気レーベル、エラートで15年間、ドイツ・グラモフォンで25年間、レコーディングを行った。
一方で、1970年代以来、生活、コミュニティ、教育における芸術の影響を考察し、その考え方を社会に定着させる方法を見出そうとしてきた。1999年、ポルトガル東部にベルガイシュ芸術センターを設立し、農村出身の子供たちのための合唱団、実験的なコンサート、プロ・アマを問わないアーティストのためのワークショップを展開。互いを尊重し、あらゆる文化、環境、自然、生命を尊重することで、地球を取り巻くすべてのものを包み込むことが目的で、「想像力を使って、今より少しは良い世界を作るための場所」と説明する。
2012年には、ベルギーで恵まれない環境にある子供たちのための合唱団を結成。異なる世代がステージを共有することで、競争するのではなく、参加者相互に利他的なダイナミズムを生み出すことに取り組んだ。
1969年の初来日以来、親日家で、訪日の際は、合間に文楽や歌舞伎を鑑賞する。「日本は私に、物事の本質とは何かを教えてくれる国。世界文化賞の受賞以上の名誉はありません」。2008年には、NHK教育番組「スーパーピアノレッスン」で講師を務めた。現在も、演奏活動の合間に世界各地で若手ピアニストを指導している。
略歴 年表
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協奏曲を初めて弾いた時の指揮者と
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若い頃の演奏会
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ベルガイシュ芸術センター内のコンサートホールにて 2024年5月
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ベルガイシュ芸術センターの中庭で 2024年5月
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ベルガイシュ芸術センターの農場で 2024年5月
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ポルトガル・ポルトでの演奏会 2024年5月
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モントリオール交響楽団と共演 2024年5月
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フランス・ボルドーでのワークショップ
2024年6月