トップ 受賞者一覧 ジュゼッペ・ペノーネ

第26回

2014年

彫刻部門

Giuseppe Penone

ジュゼッペ・ペノーネ

Giuseppe Penone

 自然との直接的な関係のなかから、様々な作品を生み出すアーティスト。豊富な種類の素材を使い、自然と自己の関わりを反映させた作品を作る。トリノのアルベルティーナ美術アカデミーで学び、1969年に初個展を開催。60年代後半にイタリアで起こった、自然にある石や木を使って作品をつくる美術運動「アルテ・ポーヴェラ」の旗手として注目された。木材の中の年輪を見つめて木を削り、その原型ともいうべき姿を現出させる作品は代表的なもの。自然の生命力を知的に表現してきた作品は高い評価を得ている。トリノ郊外の世界遺産ヴェナリア・レアーレ宮殿の彫刻庭園に14作品が設置されるなど、今やイタリアを代表する芸術家の一人。日本との関わりも深く、1997年と2009年に豊田市美術館で個展が開催された。

略歴

 自然との直接的な関係の中から、さまざまな作品を生み出すアーティスト。豊富な種類の素材を使い、自然と自己の関わりを反映させた作品を作っている。トリノにあるアトリエは、まるで工場を思わせる大きさで、そこには木材や大理石、ブロンズなどを使って制作中のダイナミックな作品群が所狭し、と置かれている。
  一方で、そこに設けられた小部屋では、アカシアのとげを一つひとつ韓国製の紙に貼り付け、「指紋」や「唇」という原型から新たな像を描き出すといった、細やかな制作も同時に行っている。
  トリノのアルベルティーナ美術アカデミーで学び、1969年に初個展を開催。60年代後半にイタリアで起きた、自然にある石や木を使って作品をつくる美術運動「アルテ・ポーヴェラ」の旗手として注目を浴びるようになった。
  とりわけ、木材の中にある年輪を見つめながら、それに沿うように木を削ってゆき、その原型ともいうべき姿を現出させる作品は代表的なものだ。「木のなかにある木」は、彼の手で芸術となって新しい命を与えられる。「年輪を一輪一輪とはがしていくことで、木という素材の中に刻み込まれた生命の記憶、生きてきた木の行為を読み取ることができます」と語る。
  そうした「木」のシリーズで自然に刻まれた生の軌跡を追ったかと思えば、自分の身体を粘土に押しつけて型をとり、乾燥させて焼成した作品では、自己を自然の入り口としてとらえる。
  自然の持つ生命力を知的に表現してきた作品は高い評価を得ている。木をかたどったブロンズ彫刻や、指紋の形の波形が浮かび上がる池など、2003年から2007年にかけての作品14点が、トリノ郊外にある世界遺産ヴェナリア・レアーレ宮殿の広大な彫刻庭園に設置された。今やイタリアを代表する芸術家の一人である。
  世界的にも人気は高く、欧米各国やブラジル、日本などの公的美術館で作品が収蔵されているのをはじめ、パリのポンピドゥー・センターやニューヨークのドローイング・センターなどで回顧展が行われた。日本との関わりも深く、1970年の「第10回日本国際美術展東京ビエンナーレ」(『人間と物質』展)に23歳で参加したのが初来日。かつては、パリの美術学校で教えていたが、今も後進の指導には熱心だ。

略歴 年表

1947
イタリア・ピエモンテ州ガレッシオ生まれ
1969
トリノで初個展
代表作《木》のシリーズを始める
1970
『人間と物質』展(東京都美術館)、初来日
1972
ドクメンタ5(1982年ドクメンタ7、1987年ドクメンタ8)
1977
ルツェルン市立美術館で個展
1980
アムステルダム市立美術館で個展
1992
『アルテ・ポーヴェラ』展(児玉画廊)
1993
『マニフェスト-アルテ・ポーヴェラ』展(ポンピドゥー・センター)
1994
『ザ・イタリアン・メタモルフォーゼス1943-1968』展
(グッゲンハイム美術館)
1997
日本での初個展『ジュゼッペ・ペノーネ:石の血管』展が
豊田市美術館で開催
『イタリア美術1945-1995』展(東京都現代美術館)に出品
2001
『20世紀イタリア美術』展(東京都現代美術館)に出品
スウェーデン王立科学アカデミーよりロルフ・ショック賞受賞
2004
ポンピドゥー・センター他、ニューヨーク、バルセロナなどで個展開催
2007
ヴェネツィア・ビエンナーレでイタリア代表を務める
ヴェナリア・レアーレ宮殿(トリノ郊外)のペノーネ彫刻庭園公開
2009
『ジュゼッペ・ペノーネ』展(豊田市美術館)開催
2013
ヴェルサイユ宮殿で『ジュゼッペ・ペノーネ』展
  • トリノのアトリエにて

  • トリノのアトリエにて

  • ≪敷居≫

  • ≪樹皮と樹皮の間≫

  • ≪水の素描≫

  • ≪解剖学≫

トリノのアトリエにて

トリノのアトリエにて

≪敷居≫ 2011年
イタリア統一150周年記念彫刻
公立近代現代美術ギャラリー前に設置
イタリア・トリノ

≪樹皮と樹皮の間≫ 2003-07年
ブロンズ、トネリコ
1030 x 430 x 280 cm
≪流動する彫刻の庭≫に恒久設置
ヴェナリア・レアーレ宮殿、イタリア・トリノ郊外
Courtesy: Consorzio di Valorizzazione Culturale La Venaria Reale

≪水の素描≫ 2003-07年
水、黒花崗岩、エアポンプ
60 x 2702 x 3450 cm
≪流動する彫刻の庭≫に恒久設置
ヴェナリア・レアーレ宮殿、イタリア・トリノ郊外
Courtesy: Consorzio di Valorizzazione Culturale La Venaria Reale

≪解剖学≫ 2003-07年
カラーラ産大理石
209 x 150 x 150 cm
≪流動する彫刻の庭≫に恒久設置
ヴェナリア・レアーレ宮殿、イタリア・トリノ郊外
Courtesy: Consorzio di Valorizzazione Culturale La Venaria Reale