第30回
2018年
音楽部門
Riccardo Muti
リッカルド・ムーティ
世界の音楽界をリードする指揮者。1967年の「グィード・カンテッリ国際指揮者コンクール」(ミラノ)での優勝で脚光を浴びた。ロンドンのフィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者やフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督を歴任。世界的な指揮者のアルトゥーロ・トスカニーニらが歴史的な名演を繰り広げた歌劇場「ミラノ・スカラ座」でも1986年から2005年まで音楽監督を務めた。レパートリーは古典から現代音楽まで多岐に渡るが、中でもイタリアの歌劇王、ヴェルディの作品への理解力には定評がある。2010年からシカゴ交響楽団の音楽監督として活躍中。イタリアと日本の文化交流促進に対する貢献が評価され、2016年に旭日重光章を受章。世界最高峰ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による「ニューイヤーコンサート」には2018年で5回目の登壇を果たした。2019年春から日本で若い音楽家のための「イタリア・オペラ・アカデミー」も開催する。
ポートレート: © Todd Rosenberg
Courtesy of RMMusic – www.riccardomutimusic.com
略歴
世界の音楽界をリードする指揮者。レパートリーは古典から現代音楽まで多岐に渡り、中でもイタリアの歌劇王、ヴェルディ作品への理解力には定評がある。作曲家が表現する世界観を最大限に引き出すのが特徴だ。
「作品には敬意を払っているので手を加えることなどできない。傑作にわれわれが口出しをするなんて許されることではありません」
イタリアの港町、ナポリで生まれ、アドリア海に面したモルフェッタで幼少期を過ごした自身のことを「地中海の人間」と称する。「世界の中でも最も温和な環境に生まれ育った人間のことを表現しているのではないかと思う」
ヴァイオリンやピアノを習得した後に、ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で作曲と指揮を学んだ。「オーケストラの前に立つときには多くの知識を身に付けてきたことが表れていると感じる」と自信をのぞかせる。
脚光を浴びたのは、1967年のイタリアの「グィード・カンテッリ国際指揮者コンクール」での優勝だ。その後は「フィレンツェ五月音楽祭」の首席指揮者に任命された。オーストリアの指揮者、ヘルベルト・フォン・カラヤンに認められ、「ザルツブルク音楽祭」でもタクトを振った。
その後は世界を舞台に活躍。英国のフィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者や米国のフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督を歴任。一方、イタリアでも手腕を発揮した。イタリアの指揮者、アルトゥーロ・トスカニーニらが歴史的名演を繰り広げてきた歌劇場「ミラノ・スカラ座」では1986年から2005年まで音楽監督を務めた。スカラ座での活動は、2004年12月、改修後に再開した劇場で上演、成功を収めた、作曲家、アントニオ・サリエリの歌劇『見出されたエウローパ』で最高潮に達した。
2010年からはシカゴ交響楽団の音楽監督として活躍。同楽団とともに米音楽界最高の栄誉とされるグラミー賞にも輝いた。イタリアと日本の文化交流促進に対する貢献が評価され、2016年に旭日重光章を受章。世界最高峰のオーケストラ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の「ニューイヤーコンサート」では今年で5回目の登壇を果たした。
若手の育成にも尽力し、来年春から日本で若い音楽家のための「イタリア・オペラ・アカデミー」を3年間の予定で開催する。「表面的な努力による成功では長続きはしない。自分の課題に真剣に取り組めば、より良い結果を生むと若者たちに伝えたい」。努力を惜しまない姿勢を次世代に継承しようとしている。
略歴 年表
グィード・カンテッリ国際指揮者コンクール(ミラノ)で優勝
シカゴ交響楽団音楽監督
レジオン・ドヌール勲章オフィシエ(フランス)
アストゥリアス皇太子賞
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団名誉会員
ローマ歌劇場終身名誉指揮者
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アリギエーリ劇場室内楽ホールにて
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アリギエーリ劇場大ホールにて