第19回
2007年
音楽部門
Daniel Barenboim
ダニエル・バレンボイム
アルゼンチンで、ロシア出身のユダヤ系移民の家庭に生まれる。7歳でピアノ演奏会を開き、神童ぶりを発揮した。10歳でイスラエルに移住。フルトヴェングラーの影響を受け、マルケヴィチに指揮を習い、1962年には指揮者としてもデビュー。年代からパリ管弦楽団、シカゴ交響楽団、ベルリン国立歌劇場で音楽監督などを歴任。バッハやベートーヴェン、ブラームスから現代音楽まで、ピアニストの勘と指揮者の技術を両輪とする精緻な音楽表現で評価を得た。ワーグナー解釈の第一人者でもあり、2001年にイスラエルで、反ユダヤ主義だとしてタブー視されていたワーグナーの曲を演奏した。パレスチナ系米国人学者の故エドワード・サイードと共に1999年に創設した、「ウェスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラ」の指導を通じ、中東和平への道も模索し続けている。
略歴
ピアニスト、指揮者としての音楽活動にとどまらず、中東の平和共存への道を模索するなど、政治的発言力を持つ文化人としても活躍している。
アルゼンチンで、ロシア出身のユダヤ系移民の家庭に生まれ、7歳でピアノ演奏会を開くなど神童ぶりを発揮。10歳でイスラエルに移住した。
「見たことも聴いたこともない、全く違う音楽づくりに魅了された」というヴィルヘルム・フルトヴェングラーの影響を受けたほか、クラウディオ・アバドやズービン・メータと共にイーゴル・マルケヴィチから指揮を習い、20歳で指揮者デビューも果たす。1970年代からパリ管弦楽団、シカゴ交響楽団、ベルリン国立歌劇場で音楽監督などを歴任。「不揃いな音楽家のレベルをいかに上げて均質化するか」という指揮者活動を通して、揺るぎない音楽哲学を育んできた。
バッハやベートーヴェン、ブラームスから現代音楽まで、幅広いレパートリーも、豊かな表現力や確かな技術力を裏打ちする。「自分が演奏し、指揮をする音楽が、その瞬間は一番好きな作品」と語り、レパートリーの広さ故の、音楽に対する真摯な姿勢も一流だ。
モーツァルトのピアノ協奏曲などの弾き振りにも積極的に挑戦。ピアニストの勘と指揮者の技術を両輪とする精緻な音楽表現は、他の追随を許さない。
「ピアノは自分と楽器のみの関係で、勘が使える。だが、指揮には知識とテクニックが必要で、しかも知識をジェスチャーで伝えなければならない。弾き振りは本当の指揮者にしかできない」
ワーグナー解釈の第一人者といわれ、2001年にはイスラエルで、反ユダヤ主義としてタブー視されていたワーグナーを指揮し、衝撃を与えた。また、パレスチナ系米国人学者の故エドワード・サイードと共に1999年に創設した、「ウェスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラ」を通じて、アラブ諸国とイスラエルとの理解促進にも尽力している。「オーケストラが平和をもたらすわけではないが、人々の手本になることは可能だ。音楽や音楽以外の発言に耳を傾けることで、平等と尊厳の環境が作り出されていく」と強調する。
2007年秋には初の中国公演、引き続いての日本公演など、世界各地を飛び回る精力的な活動は衰えることを知らない。
略歴 年表
メンバーとして学ぶ
ヴィルヘルム・フルトヴェングラーと会い、彼の前で演奏する
ストコフスキー指揮のもと、ピアニストとしてアメリカ・デビュー、欧米で活躍
初めてイギリス室内管弦楽団を指揮して成功。後にヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回り、73年には日本公演も行った
ベリオやブーレーズ、ヘンツェ、デュティユー、」武満といった現代音楽の作品にも取り組む
ドイツ連邦共和国功労勲章
ベルリン・シュターツカペレベルリン国立歌劇場管弦楽団
-
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とリハーサル
-
ダニエル・バレンボイムとサイモン・ラトル
-
マーラーを指揮するバレンボイム
-
1955年、両親とザルツブルグにて
-
イゴール・マルケヴィチの指揮の講座にて
-
ブルーノ・バンディーニ及びラジオ・オーケストラとアルゼンチンにて
-
©The Sankei Shimbun