授賞式写真

第17回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者発表

2005年 10月 17日

三宅一生、谷口吉生氏ら日本から2人

毎年、世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(財団法人日本美術協会主催)の第17回受賞者5人の発表会見が、10月17日の午後2時に、中曽根康弘国際顧問が主宰して東京で行われました。日本での発表は初めてのことで、会場となった東京国立博物館には日本美術協会総裁の常陸宮殿下、同妃殿下が臨席されました。

第17回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者
THE 2005 PRAEMIUM IMPERIALE RECIPIENTS

絵画部門:ロバート・ライマン Robert Ryman (USA)

彫刻部門:三宅 一生 Miyake Issey (日本)

建築部門:谷口 吉生 Taniguchi Yoshio (日本)

音楽部門:マルタ・アルゲリッチ Martha Argerich (アルゼンチン)

演劇・映像部門:マース・カニングハム Merce Cunningham (USA)

受賞者5人の授賞式典は10月18日午後5時より、常陸宮同妃両殿下のご臨席のもと東京・明治記念館で行われ、各受賞者に感謝状、メダル、賞金1500万円が贈られます。なお、世界文化賞の発足当初から国際顧問を務められたイギリスのエドワード・ヒース元首相が去る7月、89歳で逝去されましたので、発表会見、授賞式典出席の国際顧問は初参加のイタリアのランベルト・ディーニ氏など5人になります。


高松宮殿下記念世界文化賞 Praemium Imperiale

高松宮殿下記念世界文化賞は、財団法人 日本美術協会(総裁 常陸宮殿下、会長 瀬島龍三)が1988年、前総裁 高松宮殿下の「世界の文化・芸術の普及向上に広く寄与したい」というご遺志を継ぎ、協会設立100年の記念事業として創設したものです。国際理解の礎となる文化芸術の発展に貢献した芸術家に感謝と敬意を捧げ、その業績を讃えるもので、翌1989年に第一回の授賞が行われました。
受賞者の選考は、6人の国際顧問が主宰する各専門家委員会から推薦された絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の5部門の候補者を日本の選考委員会で検討し、各部門1名の受賞者を理事会で最終決定しています。
推薦委員会を主宰する:国際顧問は、レイモン・バール(元仏首相)、中曽根康弘(元首相)、リヒャルト・フォン・ワイツゼッカー(元独大統領)、ウィリアム・ルアーズ(米国国連協会理事長)、ランベルト・ディーニ(元伊首相)の各氏です。
国際顧問を退任されたヘルムート・シュミット(元西独首相)、ジャック・シラク(仏大統領)、デイビッド・ロックフェラー(米)、デイビッド・ロックフェラー・ジュニア(米)の各氏も、名誉顧問としてご協力いただいています。
受賞者発表の会場は、パリ、ロンドンなど各国際顧問の拠点都市を毎年巡回し、受賞者や国際顧問が出席して記念行事が行われます。授賞式典は10月、総裁の常陸宮殿下、同妃殿下のご臨席のもと、東京・明治記念館で行われ、各受賞者に感謝状、メダル、賞金1500万円が贈られます。

財団法人 日本美術協会 The Japan Art Association

財団法人 日本美術協会は、1887年(明治20年)に設立された日本で最も歴史ある文化財団です。東京・上野公園内に上野の森美術館を運営し、美術展を企画、開催しています。
毎年行われる「上野の森美術館大賞展」「VOCA展」などは、若手芸術家の登竜門として位置づけられ、多くの才能を支援する一方、「ニューヨーク近代美術館展」など多彩な企画展で美術ファンに親しまれています。また、協会は代々、皇室から総裁を戴いています。初代の有栖川宮熾仁殿下以降、有栖川宮威仁殿下、久邇宮邦彦殿下、高松宮殿下が、そして1987年から常陸宮殿下が総裁を務められています。


■絵画 ロバート・ライマン
23歳のとき、ニューヨーク近代美術館の警備員に採用されたことが後に絵画の世界で生きていくきっかけとなる。「白の画家」と言われるように、白の色彩に統一された絵画は紙、金属、ダンボールなどの支持体の上に油、エナメル、アクリル、パステルなどを使って描かれており極めて多様な表現が見られる。1991年にパリ、ロンドンなどで巡回展、94年にはニューヨーク近代美術館で、昨年は千葉県の川村記念美術館で個展を開催している。 

■彫刻 三宅一生
部門を柔軟に解釈し、彫刻部門で選ばれた。日本の和服に代表される「一枚の布」からの発想による、衣服と身体の関係に迫る表現方法は「動くオブジェ」とも呼ばれ、デザインの領域から現代アートの全域へ、30年以上にわたって強烈な刺激を放ち続け、国際的にも高い評価を得た。最近は優れた繊維技術を得てA-POC(A Piece of Cloth)を編み出すなど、話題は尽きない。1999年の「TIME」誌で、「20世紀アジアで最も影響を与えた20人」に選ばれている。

■建築 谷口吉生
1975年、丹下健三事務所を経て、工房を設立、敷地周辺の自然景観と既存の建物を生かしながら新たな建物を作り上げる能力は高く評価されている。最小限の装飾と明快さ、清楚さは谷口建築の神髄。土門拳記念館で日本芸術院賞、吉田五十八賞を受け、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、資生堂アートハウス、東京都葛西臨海水族園、東京国立博物館の法隆寺宝物館などで次々に受賞。2004年、ニューヨーク近代美術館の増改築が完成し、国際的にも名声が高まった。

■音楽 マルタ・アルゲリッチ
5歳からピアノを学んで神童ぶりを発揮。1965年、ショパン国際コンクールで優勝し実力、人気とも世界トップのピアニストとして認められた。強烈な個性、奔放で情熱的、女性的でありながら男性的とも言える豪快な演奏表現で迫ってくる。クラウディオ・アバド、シャルル・デュトワ、ギドン・クレメール、ネルソン・フレイレ、ミッシャ・マイスキーなど著名な音楽家たちと優れた演奏を重ねている。初来日は1970年で、98年からは「別府アルゲリッチ音楽祭」総監督をつとめている。

■演劇・映像 マース・カニングハム
アメリカの舞踊家・振付師。マース・カニングハム ダンス・カンパニーを主宰、ダンスと現代アートを結びつけ、新しい舞踊発展に貢献をしてきた。マーサ・グラハムの目にとまり、1939年、グラハム舞踊団でデビューした後、音楽家ジョン・ケージと共に、意味を切り捨て、身体の純粋な動きだけで構成する作品を生み出してきた。世界文化賞受賞者のラウシェンバーグも舞台美術や衣装を長年担当、コラボレーションや最先端テクノロジーを駆使した作品は世界中で上演されている。