第33回
2022年
建築部門
Kazuyo Sejima
+
Ryue Nishizawa
/ SANAA
妹島和世+西沢立衛 /SANAA
SANAAは妹島和世、西沢立衛による建築家ユニット。伊東豊雄建築設計事務所を経て独立した妹島と、妹島事務所の所員だった西沢が1995年に結成した。初期の代表作は『金沢21世紀美術館』(2004年)。街に溶け込む公園のような空間は、観光客から地元民まで広く愛されている。主な作品に『スタッドシアター・アルメラ』(2006年、オランダ)、『ニューミュージアム』(2007年、米国)、『ROLEXラーニングセンター』(2009年、スイス)、『ルーヴル・ランス』(2012年、フランス)、『ボッコーニ大学新キャンパス』(2020年、イタリア)など。プリツカー賞、日本建築学会賞など受賞多数。『シドニー・モダン・プロジェクト』ニューサウスウェールズ州立美術館の増築が2022年12月に一般公開の予定。『新香川県立体育館』や『蘇州獅子山広場芸術劇場』(中国)など、世界各地でプロジェクトが進行している。
略歴
場と人をつなぐ斬新な建築で、国際的に活躍する建築家ユニット、SANAA(妹島和世+西沢立衛)。
妹島は日本女子大学大学院を修了後、伊東豊雄建築設計事務所を経て1987年に独立。『再春館製薬女子寮』(1991年)などで注目された。一方、西沢は横浜国立大学大学院を修了後、妹島の事務所に入所。2人は1995年にSANAAを設立し、それぞれ自身の建築設計事務所を構えながら、ユニットでも建築の地平を切り開くようなプロジェクトに挑んできた。
「ユニットの役割分担は全然なく、全部一緒にやっている。お互いが感覚派になったり、理論派になったりする」(妹島)という関係だ。
歴史都市・金沢のイメージを一新させた『金沢21世紀美術館」(2004年)は、同年のヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展で金獅子賞に輝くなど、SANAAの名を世界に知らしめた作品。
大きな円の中に大小の箱(展示室)を収めた構成で、来館者は、建物のどの方向からも出入りでき、無料ゾーンも含めて思い思いに過ごせる。また、ガラスの外壁は建物の内外を隔てることなく、街との連続性も表現。誰もが訪れたくなる「敷居の低い美術館」という金沢市のリクエストに、建築で応えた。
心地よく外へと開き、緻密で洗練された作風は人気を集め、海外プロジェクトも増加。米ニューヨークの『ニューミュージアム』(2007年)、構造と意匠を一体化し、ユニークな建築空間を生み出した『ROLEXラーニングセンター』(2009年、スイス)、フランス北部に造られたルーヴル美術館別館『ルーヴル・ランス』(2012年、フランス)、イタリア・ミラノの『ボッコーニ大学新キャンパス』(2020年)など枚挙にいとまがない。
二人がキャリアの初期から志向してきたのは「公園のような建築」で、周囲の環境と一体化するような建築、人と人とのつながりを緩やかに生み出す建築を目指し、具現化させてきた。透明感あふれるデザインは、建築界に新しい風を吹き込み、新世代の建築家の牽引役を務めている。
プリツカー賞(2010年)など受賞多数。オーストラリアでこのほど竣工した『ニューサウスウェールズ州立美術館新館』は、2022年12月に一般公開の予定。『新香川県立体育館』『蘇州獅子山広場芸術劇場』(中国)など、現在も世界各地でプロジェクトが進行している。
略歴 年表
日本建築学会賞(『金沢21世紀美術館』)
『スタッドシアター・アルメラ』 (オランダ)
『ROLEXラーニングセンター』 (ローザンヌ、スイス)
『ラ・サマリテーヌ』 (パリ)
-
『金沢21世紀美術館』2004年
-
『ニューミュージアム』2007年
-
『ROLEXラーニングセンター』2009年
-
『ルーヴル・ランス』2012年
-
『荘銀タクト鶴岡』2017年
-
『ニューサウスウェールズ州立美術館新館』2022年