第22回
2010年
音楽部門
Maurizio Pollini
マウリツィオ・ポリーニ
誰もが認める現代最高のピアニストの一人。ショパンなどロマン派や古典の演奏で定評があるが、現代音楽の語り部の使命も果たす。「建築や絵画などと違い、現代音楽は生活の一部になっていない」とルイジ・ノーノやピエール・ブーレーズら20世紀以降の音楽をレパートリーに組み入れ、披露し続ける。5歳でピアノを始め、18歳で出場したショパン国際ピアノコンクールで審査員全員一致での優勝。一時、演奏活動から遠ざかるが、1968年の再デビューで世界にセンセーションを巻き起こし、以後、ピアニストの頂点の座を保ち続ける。ベートーヴェンのピアノ・ソナタの全曲演奏や、自ら企画した「ポリーニ・プロジェクト」での新旧作品を並べた個性的なコンサートが評判になった。日本では1974年の初公演以降、昨年までに計16回公演しており、今年も10月17、23日、11月3日に東京公演を行う。
略歴
世界の聴衆を魅了し続ける現代最高のピアニストの一人。ショパンなどロマン派や古典の演奏で定評があるが、その枠にとらわれず、現代音楽の語り部としての芸術的使命も果たす。
「建築や絵画などと違い、現代音楽は生活の一部になっていない。特に若い世代に音楽への関心を持たせる必要がある」
その問題意識は、ルイジ・ノーノやピエール・ブーレーズら20世紀以降の音楽をベートーヴェンともまったく区別せず、レパートリーに多数組み入れていることに表れている。
父は著名な建築家、ジーノ・ポリーニ。5歳でピアノを始め、1960年に18歳で出場したショパン国際ピアノコンクールで審査員全員一致での優勝。審査委員長のアルトゥール・ルービンシュタインが「技巧的にはわれわれの誰よりもうまい」と激賞したのは有名なエピソードである。
その後は演奏活動から遠ざかり、ベネデッティ・ミケランジェリのもとで研鑽(けんさん)を積む。1968年の再デビュー後は親友のクラウディオ・アバドらと共演し、卓越した技術と曲ごとに音調が変わる分析力、何より美しい音色が世界にセンセーションを巻き起こした。以後、世界のピアニストの頂点の座を保ち続けている。
若き日の怜悧な演奏から、円熟のピアノになりつつある現在も、「いかに作曲家の望む音楽に近づけるか」を意識し、譜面と忠実に向き合う。1993年のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏や、1995年に自ら企画した「ポリーニ・プロジェクト」での古典作品と現代音楽を並べた個性的なコンサートが、世界的に評判になった。日本でも2002年に同プロジェクトで、9夜連続の演奏会を開き、大きな反響を呼んだ。2012年から、ベートーヴェンのソナタと4つの現代曲を組み合わせた新企画を始めるという。
録音でも、改めてショパンと向き合った『夜想曲集』(2007年のグラミー賞器楽部門など受賞多数)や、初のバッハ録音となった『平均律クラヴィーア曲集第1巻』(2009)など、意欲的にピアノを追究し続けている。
日本では1974年の初公演以降、ほぼ2年おきに計16回公演を行っており、浮世絵や漆器など日本文化にも造詣が深い。2010年10月17、23日、11月3日に東京公演を行った。
略歴 年表
第一回エットレ・ポッツォーリ国際ピアノ・コンクールで優勝
東京でピエール・ブーレーズ・フェスティバルに参加
-
ミラノの自宅にて
-
ロンドンのバービカン・センターでのリハーサル、2010年
-
マウリツィオ・ポリーニ ピアノ・リサイタル
-
ショパン国際ピアノコンクール優勝の賞状を手に、1960年
-
ロストロポーヴィチと