小澤 征爾

Seiji Ozawa

プロフィール

 世界の音楽界になくてはならない存在となっている巨匠指揮者。桐朋学園で指揮教育のパイオニア、齋藤秀雄に師事。1959年にブザンソン国際指揮者コンクールで第一位。カラヤンとバーンスタインに師事。トロント交響楽団、サンフランシスコ交響楽団、ボストン交響楽団、ウィーン国立歌劇場の音楽監督などを歴任し、音楽の世界の頂点を極める。1992年からは、長野県松本市で「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」を立ち上げ、総監督としてサイトウ・キネン・オーケストラを「ウィーン・フィル、ベルリン・フィルに比肩する新しいスタンダードに」という志を持って指揮、欧米でも高い評価を得た。食道がんと腰の手術を克服。今年から、同フェスティバルの演奏旅行も計画し、9月に中国公演を行う予定。

詳しく

 現在の世界クラシック界で円熟の境地にある巨匠指揮者の一人。古典から現代まで幅広いレパートリーを誇り、日本指揮界の「パイオニア」であるだけでなく、「僕の本当の仲間」と呼ぶベルリン・フィル、ウィーン・フィルという世界最高峰のオーケストラにも不可欠な存在となっている。
桐朋学園で西洋音楽の基礎教育の必要性を説く名教師の齋藤秀雄に指揮を学ぶ。1959年には「とにかく、本場の音楽に触れたかった」と貨物船で単身渡欧、フランスのブザンソン指揮者コンクールで1位を獲得した。その縁でアメリカのタングルウッド音楽祭に招かれ、クーセヴィツキー賞を受賞したことは伝説化している。
その後、ベルリンでカラヤンに師事し、バーンスタインのもとでニューヨーク・フィル副指揮者を務めた後、トロント交響楽団音楽監督、サンフランシスコ交響楽団音楽監督などを歴任、その才能と飾り気のない人間性が多くの音楽人に愛され、日本人未踏の領域に次々に挑戦し、成功を収めた。
1973年からは、アメリカの名門ボストン交響楽団の音楽監督を29年間も務め、さらに2002年からは、ウィーン国立歌劇場音楽監督に就任。同年には、ウィーン・フィルの「ニューイヤー・コンサート」に出演、そのCDは全世界で100万枚以上を売り上げた。1978年には中国政府の公式招待により北京中央楽団を指揮、翌年にボストン交響楽団と再度訪中して、音楽・文化交流を果たす。
日本国内では、1992年から、長野県松本市で音楽祭「サイトウ・キネン・フェスティバル松本(SKF松本)」を立ち上げ、総監督を務めている。
「サイトウ・キネン・オーケストラは、一流オーケストラに比肩する新しいスタンダードをつくる可能性がある。その確証を生きている間に得たいし、次世代がそれを実現する道筋をつくりたい」という志が、同オーケストラに浸透し、高いレベルに成長した。「音楽にとって一番恐ろしいのは、同じことの繰り返しに慣れること。音楽はその時、その瞬間に鳴る音が大事で、その時が勝負だ」と語る。
また近年は、「小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト」、スイス国際音楽アカデミーなどで、若い音楽家の指導に熱心に取り組んでいる。
昨年1月、食道がんを手術、9月のSKF松本での復帰公演は腰痛悪化もあり、チャイコフスキー『弦楽セレナード』の第1楽章を指揮するのみに終わったが、昨年12月、自ら芸術監督を務めたニューヨークのカーネギーホールでの日本芸術祭の開幕公演で、ブラームスの交響曲第1番、ブリテン『戦争レクイエム』などを演奏、「奇跡の復活」を遂げた。日本での本格的な復帰公演となったのは2011年、8月のSKF松本でバルトーク作曲のオペラ『青ひげ公の城』で、9月に行われた同音楽祭の中国公演での指揮は断念したものの、オペラ全曲を指揮し、完全復帰を果たした。

 

略歴

  1935   中国・シャンヤン(旧奉天)に生まれる
  1958   斎藤秀雄に指揮を学び桐朋学園大学短期大学卒業、翌年渡仏
  1959  

仏ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝

  1960  

バークシャー音楽祭(現タングルウッド)の指揮コンクールで最優秀のクーセヴィツキー賞

このころからシャルル・ミュンシュ、ヘルベルト・フォン・カラヤン、レナード・バーンスタインの指導を受け始める

  1961  

ニューヨーク・フィル副指揮者に就任 バーンスタインの来日公演に同行

  1962  

NHK交響楽団常任指揮者に就任するが半年で辞任

  1970   タングルウッド音楽祭芸術監督
  1973  

ボストン交響楽団音楽監督(-2002)

  1984  

斎藤秀雄没後10周年にメモリアル・コンサート

(1987- サイトウ・キネンオーケストラ)

  1992-  

「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」芸術監督

  2000  

オペラを通じて若手音楽家を育成するために「小澤征爾音楽塾」を開設

  2002  

ウィーン国立歌劇場音楽監督就任(-2010)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサート指揮

  2008  

文化勲章受章

  2010  

ウィーン・フィルより名誉団員の称号