ヨーヨー・マ

Yo-Yo Ma

プロフィール

 ジャンルを“越境”する現代最高峰のチェロ奏者。中国人音楽家の両親のもとパリで生まれ、4歳でチェロを始めた。7歳でニューヨークに移住し、10代でパブロ・カザルス、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチと肩を並べるチェロ奏者と評された。これまでに100作以上のアルバムを発表。その中でアストル・ピアソラやエンニオ・モリコーネらの多彩な楽曲を演奏、ジャズ歌手のボビー・マクファーリンほか幅広いジャンルの音楽家と共演している。米グラミー賞を18回受賞。1998年には中国やアゼルバイジャンなどアジアの民族音楽などを演奏する「シルクロード・プロジェクト」を始めた。2018年からバッハの『無伴奏チェロ組曲』を世界36カ所で演奏する「バッハプロジェクト」に取り組んでいる。

詳しく

 現代最高峰のチェロ奏者。中国人の指揮者・作曲家の父親と声楽家の母親のもと、パリで生まれる。チェロは4歳から手にし、父親の手ほどきを受けた。本当はコントラバスに魅了されたが、子供が扱うには大きすぎるとしてチェロに落ち着いたと明かす。
 7歳のとき、ニューヨークに移住。音楽教育の名門ジュリアード音楽院でチェロ奏者、レナード・ローズらに師事し、10代でパブロ・カザルス、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチら巨匠と肩を並べるチェリストと評されたが、「自分のアイデンティティーを探すため」、ハーバード大学で音楽以外の教養も高めた。
 これまでに発表したアルバムは100作以上。18回受賞した米グラミー賞をはじめ、数多くの賞を獲得している。クラシック音楽にとどまらず、タンゴのアストル・ピアソラや映画音楽のエンニオ・モリコーネら幅広い作曲家の楽曲を演奏。また、ジャズ歌手のボビー・マクファーリン、カントリー音楽のマーク・オコーナーら、多様な音楽家とも共演するなど、ジャンルを“越境”するチェロ奏者でもある。
 1998年に始めた「シルクロード・プロジェクト」では、中国やアゼルバイジャンなどアジアの民族音楽などを演奏した。初来日(1981年)後、日本文化に興味を持ち、正倉院での五弦の琵琶との出会いが、このアイデアを結晶化させたという。「『見知らぬ人が出会うとどうなるのか』というシンプルな疑問を探求する」試みだというが、まさに音楽が文化の垣根を越えるコミュニケーション手段であることを証明する。
 2018年からは、バッハの『無伴奏チェロ組曲』を世界36カ所で演奏する「バッハプロジェクト」をスタート。2020年は沖縄公演も予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で、2021年11月に延期になった。
 コロナ禍でも精力的に活動している。家にとどまる人々のため、『ドヴォルザーク:家路』を演奏する動画をオンラインで配信、1800万回以上も再生された。安らぎと希望をテーマにしたアルバム『ソングス・オブ・コンフォート・アンド・ホープ』も制作。2021年3月には米マサチューセッツ州で2回目のワクチン接種を受けた後、会場で15分間待機する間、チェロの演奏を披露し話題になった。
 そのチェロの音色は、人々を励まし、癒やし続けている。

略歴

  1955 フランス・パリ生まれ
  1962 家族でニューヨークに移住、ヤーノシュ・シュルツに師事
慈善コンサートにてケネディ大統領の前で演奏披露
  1964 ジュリアード音楽院でレナード・ローズに師事
  1970 ソリストとしてサンフランシスコ交響楽団と共演
  1971-74 マールボロ音楽祭に参加、パブロ・カザルスの下で学ぶ
  1976 ハーバード大学卒業
  1978 エイヴリー・フィッシャー賞(アメリカ)
  1981 初来日、東京都交響楽団と共演
  1984 バッハ 『無伴奏チェロ組曲』 でグラミー賞初受賞
  1998 「シルクロード・プロジェクト」立ち上げ
『無伴奏チェロ組曲』の映像作品『インスパイアード・バイ・バッハ』(1997)でエミー賞視覚効果賞
  2000 「シルクロード・アンサンブル」結成
来日ツアー、東大寺大仏殿で演奏奉納
  2001 アメリカ国民芸術勲章
  2006 レオニー・ソニング音楽賞(デンマーク)
  2010 アメリカ大統領自由勲章
  2012 ポーラー音楽賞(スウェーデン)
  2016 フランス芸術文化勲章コマンドゥール
シルクロード・アンサンブルと『シング・ミー・ホーム』で18回目のグラミー賞
  2017 『シックス・エヴォリューションズ』で『無伴奏チェロ組曲』3度目の録音
  2018 「バッハプロジェクト」をスタート
  2021 アメリカ大統領就任記念コンサートで『アメイジング・グレイス』披露