第31回
2019年
演劇・映像部門
Bando Tamasaburo
坂東 玉三郎
圧倒的な美貌、役の性根を掴む演技と美意識、芸容の大きさで、現代歌舞伎を代表する女形。その存在は海外のアーティストにもインスピレーションを与え、「世界の玉三郎」として活躍する。1957年、坂東喜の字を名乗って初舞台。1964年、十四世守田勘弥の芸養子となり、五代目坂東玉三郎を襲名。19歳のとき、三島由紀夫作『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』の白縫姫に抜擢。『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の政岡、『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)』の阿古屋(あこや)など当り役は多い。舞踊家としても『京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)』や『鷺娘』などで独自の美の世界を創造。沖縄の組踊や中国の昆劇など活動は多岐にわたる。世界的なチェリスト、ヨーヨー・マやバレエの振付家モーリス・ベジャール、ポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダらとの共同作業でも世界中の人々を魅了している。
略歴
姿形の圧倒的な美しさ、役の性根を的確に掴む演技と独自の美意識、そして芸容の大きさで、現代歌舞伎を代表する女形。その存在は海外のアーティストにもインスピレーションを与え、「世界の玉三郎」として活躍している。
1957年、『寺子屋』の小太郎で、坂東喜の字を名乗って初舞台。1964年、十四世守田勘弥の芸養子となり、歌舞伎座『心中刃は氷の朔日(ついたち)』のおたまほかで、五代目坂東玉三郎を襲名。19歳のとき、三島由紀夫の新作歌舞伎『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』のヒロイン、白縫姫に抜擢され、一躍注目を浴びた。
1970年代には、十二代目市川團十郎とのコンビが「海老(当時、市川海老蔵)・玉」、片岡仁左衛門とのコンビが「孝(当時、片岡孝夫)・玉」と呼ばれ、美貌のコンビとして歌舞伎の枠を超えた人気を集めた。以来、女形の最高峰の役といわれる『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の政岡、長く歌舞伎界で玉三郎ただ一人しか演じる人のいなかった『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)』の阿古屋(あこや)、謎のほほえみで男を破滅に追いやった『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』の八ツ橋など多くの大役を勤め、歌舞伎の奥深い魅力を体現している。
舞踊家としても『京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)』や『鷺娘』などで独自の美の世界を創造。また、若い頃から、シェイクスピアの『オセロー』のデズデモーナ、泉鏡花の『天守物語』の富姫など、歌舞伎以外の舞台でも多くのヒロインを演じた。近年は沖縄の伝統的な組踊や中国の昆劇にも女形として出演、太鼓芸能集団「鼓童」の芸術監督も務め、『アマテラス』や『幽玄』などの作品を生み出すなどその活動は多岐にわたる。
一方、世界的なチェリスト、ヨーヨー・マの演奏によるバッハ『無伴奏チェロ組曲』の演奏で舞踊を披露、バレエ振付家のモーリス・ベジャール(1993年、演劇・映像部門)とは1994年、『リア王—コーデリアの死』を初演、ミハイル・バリシニコフ(2017年、演劇・映像部門)やジョルジュ・ドンらともコラボレーションを行っている。また、ポーランドの映画監督、アンジェイ・ワイダ(1996年、演劇・映像部門)が演出した『ナスターシャ』(ドストエフスキーの『白痴』が原作)の舞台作品と映画版の双方に主演するなど、多くの画期的な作品に携わり、世界中の人々を魅了している。
海外公演も多く、演技者としてだけでなく、演出家、映画監督としても活躍。まさに類いまれな俳優であり、表現者、クリエーターである。
略歴 年表
舞台『ロミオとジュリエット』で初めて演出を手掛ける
モーリス・ベジャール振付でパトリック・デュポンらと共演
ヨーロッパ公演、「ユーロパリア’89」に参加(ブラッセル、ベルリン、ドレスデン、ウィーン)
ワルシャワ公演、ワイダ監督の舞台『ナスターシャ』
重要無形文化財保持者(人間国宝)認定
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明治記念館にて
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シネマ歌舞伎 特別篇『幽玄』
2019年9月27日より全国の映画館で公開
© 岡本隆史 -
片岡仁左衛門と
シネマ歌舞伎『廓文章 吉田屋』
2020年1月3日より全国の映画館で公開
© 松竹 -
片岡仁左衛門と
シネマ歌舞伎『廓文章 吉田屋』
2020年1月3日より全国の映画館で公開
© 松竹 -
ミハイル・バリシニコフと