坂東 玉三郎

Bando Tamasaburo

プロフィール

 圧倒的な美貌、役の性根を掴む演技と美意識、芸容の大きさで、現代歌舞伎を代表する女形。その存在は海外のアーティストにもインスピレーションを与え、「世界の玉三郎」として活躍する。1957年、坂東喜の字を名乗って初舞台。1964年、十四世守田勘弥の芸養子となり、五代目坂東玉三郎を襲名。19歳のとき、三島由紀夫作『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』の白縫姫に抜擢。『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の政岡、『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)』の阿古屋(あこや)など当り役は多い。舞踊家としても『京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)』や『鷺娘』などで独自の美の世界を創造。沖縄の組踊や中国の昆劇など活動は多岐にわたる。世界的なチェリスト、ヨーヨー・マやバレエの振付家モーリス・ベジャール、ポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダらとの共同作業でも世界中の人々を魅了している。

詳しく

 姿形の圧倒的な美しさ、役の性根を的確に掴む演技と独自の美意識、そして芸容の大きさで、現代歌舞伎を代表する女形。その存在は海外のアーティストにもインスピレーションを与え、「世界の玉三郎」として活躍している。
 1957年、『寺子屋』の小太郎で、坂東喜の字を名乗って初舞台。1964年、十四世守田勘弥の芸養子となり、歌舞伎座『心中刃は氷の朔日(ついたち)』のおたまほかで、五代目坂東玉三郎を襲名。19歳のとき、三島由紀夫の新作歌舞伎『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』のヒロイン、白縫姫に抜擢され、一躍注目を浴びた。
 1970年代には、十二代目市川團十郎とのコンビが「海老(当時、市川海老蔵)・玉」、片岡仁左衛門とのコンビが「孝(当時、片岡孝夫)・玉」と呼ばれ、美貌のコンビとして歌舞伎の枠を超えた人気を集めた。以来、女形の最高峰の役といわれる『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の政岡、長く歌舞伎界で玉三郎ただ一人しか演じる人のいなかった『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)』の阿古屋(あこや)、謎のほほえみで男を破滅に追いやった『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』の八ツ橋など多くの大役を勤め、歌舞伎の奥深い魅力を体現している。
 舞踊家としても『京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)』や『鷺娘』などで独自の美の世界を創造。また、若い頃から、シェイクスピアの『オセロー』のデズデモーナ、泉鏡花の『天守物語』の富姫など、歌舞伎以外の舞台でも多くのヒロインを演じた。近年は沖縄の伝統的な組踊や中国の昆劇にも女形として出演、太鼓芸能集団「鼓童」の芸術監督も務め、『アマテラス』や『幽玄』などの作品を生み出すなどその活動は多岐にわたる。
 一方、世界的なチェリスト、ヨーヨー・マのバッハ『無伴奏チェロ組曲』の演奏で舞踊を披露、バレエ振付家のモーリス・ベジャール(1993年、演劇・映像部門)とは1994年、『リア王—コーデリアの死』を初演、ミハイル・バリシニコフ(2017年、演劇・映像部門)やジョルジュ・ドンらともコラボレーションを行っている。また、ポーランドの映画監督、アンジェイ・ワイダ(1996年、演劇・映像部門)が演出した『ナスターシャ』(ドストエフスキーの『白痴』が原作)の舞台作品と映画版の双方に主演するなど、多くの画期的な作品に携わり、世界中の人々を魅了している。
 海外公演も多く、演技者としてだけでなく、演出家、映画監督としても活躍。まさに類いまれな俳優であり、表現者、クリエーターである。

略歴

  1950 東京生まれ
  1956 十四代目守田勘弥に弟子入り
  1957 坂東喜の字を名乗り、『寺子屋』の小太郎役で初舞台
  1964 五代目坂東玉三郎を襲名
  1970 芸術選奨新人賞
  1971 第8回ゴールデン・アロー賞演劇賞
  1976 『マクベス』のマクベス夫人で翻訳劇を初上演
  1982 アメリカ公演に参加、ノックスビル万博、ニューヨーク、ワシントンで初の海外公演
  1984 メトロポリタン歌劇場100周年記念公演に招聘、『鷺娘』を上演
  1986 パリ公演に参加
舞台『ロミオとジュリエット』で初めて演出を手掛ける
  1988 ヨーヨー・マ演奏のラヴェル『ピアノ三重奏曲』で創作舞踊
モーリス・ベジャール振付でパトリック・デュポンらと共演
  1989 アンジェイ・ワイダ演出・舞台『ナスターシャ』に主演(1994年映画化)
ヨーロッパ公演、「ユーロパリア’89」に参加(ブラッセル、ベルリン、ドレスデン、ウィーン)
  1991 ロンドン公演に参加
  1992 台北国家劇院で『楊貴妃』を上演
  1993 二作目の監督作品、映画『夢の女』が第43回ベルリン国際映画祭に正式出品
ワルシャワ公演、ワイダ監督の舞台『ナスターシャ』
  1994 ベジャールと共演の『リア王~コーデリアの死』初演
  1996 ダニエル・シュミット監督の映画『書かれた顔』に主演
ヨーヨー・マと共演した『無伴奏チェロ組曲』が「ダンス・スクリーン’96」(リヨン)でグランプリ受賞
  1997 モンブラン国際文化賞
  1998 ミハイル・バリシニコフと共演
  2010 昆劇『牡丹亭』が上海万博へ正式招待
  2011 第27回「京都賞」思想・芸術部門
  2012 太鼓芸能集団「鼓童」の芸術監督に就任
重要無形文化財保持者(人間国宝)認定
  2013 フランス芸術文化勲章コマンドゥール
  2014 紫綬褒章
  2016 日本芸術院賞・恩賜賞
  2017 『坂東玉三郎 x 鼓童~幽玄』
  2019 『坂東玉三郎 世界のうた』コンサート