授賞式写真

第14回高松宮殿下記念世界文化賞受賞者発表

2002年 9月 18日
第14回高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者決定
映画監督のジャン=リュック・ゴダール氏など5人

世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(財団法人 日本美術協会主催)の第14回受賞者が、9月17日(日本時間9月18日午前3時)、パリなど世界6都市で同時発表されます。
今年は、60年代ヌーベルヴァーグ映画の旗手、ジャン=リュック・ゴダール監督の他、「冬の旅」などドイツ歌曲で有名な声楽家、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ氏など、5部門5人が選ばれました。
また、同時に発表される第6回若手芸術家奨励制度の対象団体には、ロンドンに本部を置く欧州連合青少年オーケストラ(EUYO)が選ばれました。
授賞式典は10月23日、東京・元赤坂の明治記念館で行われ、総裁の常陸宮殿下からメダルと賞金1500万円が贈られます。


■絵画部門 :  ジグマー・ポルケ Sigmar Polke
(ドイツ 61歳)

■彫刻部門 :  ジュリアーノ・ヴァンジ Giuliano Vangi 
(イタリア  71歳)

■建築部門 :  ノーマン・フォスター Norman Foster 
(イギリス 67歳)

■音楽部門 :  ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ 
Dietrich Fischer-Dieskau (ドイツ 77歳)

■演劇・映像部門: ジャン=リュック・ゴダール
Jean-Luc Godard (スイス 71歳)


高松宮殿下記念世界文化賞

高松宮殿下記念世界文化賞は、財団法人 日本美術協会(総裁 常陸宮殿下、会長 瀬島龍三)が1988年、前総裁 高松宮殿下の「世界の文化芸術の普及向上に広く寄与したい」というご遺志を継ぎ、創立100周年記念事業として創設したものです。国際理解の礎となる文化芸術の発展に貢献した芸術家に感謝と敬意を捧げ、その業績を讃えるもので、毎年、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の5部門5人に感謝状、メダル、賞金各1500万円をお贈りしています。

受賞者の選考は、6人の国際顧問が各国の叡知を集めた専門家委員会を設けて候補者を推薦し、そのリストに基づいて日本の選考委員会が候補者を絞り、日本美術協会理事会で最終決定をしています。

推薦委員会を主宰する国際顧問は、ウンベルト・アニエリ(伊フィアットグループ副会長)、レイモン・バール(元仏首相)、エドワード・ヒース(元英首相)、中曽根康弘(元首相)、リヒャルト・フォン・ワイツゼッカー(元独大統領)、ウイリアム・ルアーズ(米国国連協会会長)の各氏です。

国際顧問を退任されたヘルムート・シュミット(元西独首相)、ジャック・シラク(仏大統領)、デイビッド・ロックフェラー(米)、デイビッド・ロックフェラー・ジュニア(米)の各氏も、名誉顧問として協力をされています。

受賞者発表の主会場は、パリ、ロンドンなど各国際顧問の本拠都市を毎年巡回し、受賞者や国際顧問を迎えて記念行事が行われます。授賞式典は10月、総裁の常陸宮殿下、同妃殿下のご臨席のもと、東京・明治記念館で行われます。

また、次代を担う若手芸術家の育成を目的に1997年、若手芸術家奨励制度も創設され、毎年、世界文化賞受賞者発表と同時に対象者が発表されます。選考は国際顧問が担当し、選ばれた個人・団体には奨励金500万円が贈られます。



第14回「高松宮殿下記念世界文化賞」受賞者

絵画部門受賞者:ジグマー・ポルケ
1941年2月13日、ポーランド・シレジア生まれ、ドイツ

写真や印刷技術のドットを使った作品やドイツ・ポップ・アート的作品の他、化学反応や温度などで変化する素材を用いて画面が変化していく絵画も描く。あらゆる素材を自由に使うところから、“アートの錬金術師”とも呼ばれる。ポーランドで生まれ、45年に旧東ドイツに、53年に旧西ドイツに亡命。ヨーゼフ・ボイスに学んだ後、63年にデビュー。1986年ヴェネチア・ビエンナーレの金獅子賞受賞で一躍、認められた。ケルン在住。授賞式が初来日になる。

彫刻部門:ジュリアーノ・ヴァンジ
1931年3月13日、フィレンツェ郊外生まれ。イタリア

人間が抱える葛藤を地中海的な明るさと優しい感触の人体像で描くイタリアの彫刻家。最近はピサ大聖堂の祭壇など宗教的な仕事が多い。ジオットなどの芸術家を輩出したフィレンツェ郊外に生まれ、大理石を手に育った。一時、抽象彫刻を手がけるなど、現在の具象スタイルを確立するまでには紆余曲折があった。イタリア・ペーザロ在住。昨年、箱根・彫刻の森美術館で回顧展開催。今春、静岡県にヴァンジ彫刻庭園美術館がオープンした。

建築部門:ノーマン・フォスター
1935年6月1日、マンチェスター生まれ。英国

「建築は芸術と科学の融合」を持論とする建築家。銀行、美術館、空港から地下鉄に至るまで世界中で多様なプロジェクトを手がけてきた。洗練されたハイテク美と環境配慮は世界的な称賛を浴びている。最近では、ベルリンのドイツ連邦議会新議事堂やロンドンの大英博物館グレートコートの改修のように、ハイテク技術を駆使して歴史的建造物を再生する手法が高く評価されている。マンチェスターで生まれ育った。ロンドン在住。東京にはセンチュリー・タワーがある。

音楽部門:ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ
1925年5月28日、ベルリン生まれ。ドイツ

18歳でシューベルトの「冬の旅」を歌い始めて以来、恵まれた声、精密な発声法、豊かな表現力、音楽と歌詞への深い理解力などで、他の追随を許さない希有のバリトン歌手。ドイツ歌曲に対する貢献は世界的な評価を受けている。シューベルト、シューマン、ブラームス、ヴォルフ、シュトラウスなどの歌曲全集を手がけた。指揮者、著述家、大学教授、画家としても活動。93年に声楽家を引退。ベルクとベルリン在住。63年以来、何度も来日し、日本の声楽界にも大きな影響を与えた。

演劇・映像部門:ジャン=リュック・ゴダール
1930年12月3日、パリ生まれ。スイス

1959年、「勝手にしやがれ」で“ヌーベルヴァーグの旗手”として躍り出て以来、世界の映画界に大きな影響を与えてきた映画監督。70~80年代には、実験的で革命的な作品制作に没頭。1983年、「カルメンという名の女」でヴェネチア映画祭グランプリ。主要作品に「女と男のいる舗道」「新ドイツ零年」「フォーエヴァー・モーツァルト」「映画史」。日本では今年、新作「愛の世紀」や旧作の公開が相次いだ。スイス在住。授賞式で日本を訪れるのは36年ぶりになる。


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