ダニエル・バレンボイム

Daniel Barenboim

プロフィール

  アルゼンチンで、ロシア出身のユダヤ系移民の家庭に生まれる。7歳でピアノ演奏会を開き、神童ぶりを発揮した。10歳でイスラエルに移住。フルトヴェングラーの影響を受け、マルケヴィチに指揮を習い、1962年には指揮者としてもデビュー。年代からパリ管弦楽団、シカゴ交響楽団、ベルリン国立歌劇場で音楽監督などを歴任。バッハやベートーヴェン、ブラームスから現代音楽まで、ピアニストの勘と指揮者の技術を両輪とする精緻な音楽表現で評価を得た。ワーグナー解釈の第一人者でもあり、2001年にイスラエルで、反ユダヤ主義だとしてタブー視されていたワーグナーの曲を演奏した。パレスチナ系米国人学者の故エドワード・サイードと共に1999年に創設した、「ウェスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラ」の指導を通じ、中東和平への道も模索し続けている。

詳しく

  ピアニスト、指揮者としての音楽活動にとどまらず、中東の平和共存への道を模索するなど、政治的発言力を持つ文化人としても活躍している。
  アルゼンチンで、ロシア出身のユダヤ系移民の家庭に生まれ、7歳でピアノ演奏会を開くなど神童ぶりを発揮。10歳でイスラエルに移住した。

  「見たことも聴いたこともない、全く違う音楽づくりに魅了された」というヴィルヘルム・フルトヴェングラーの影響を受けたほか、クラウディオ・アバドズービン・メータと共にイーゴル・マルケヴィチから指揮を習い、20歳で指揮者デビューも果たす。1970年代からパリ管弦楽団、シカゴ交響楽団、ベルリン国立歌劇場で音楽監督などを歴任。「不揃いな音楽家のレベルをいかに上げて均質化するか」という指揮者活動を通して、揺るぎない音楽哲学を育んできた。
バッハやベートーヴェン、ブラームスから現代音楽まで、幅広いレパートリーも、豊かな表現力や確かな技術力を裏打ちする。「自分が演奏し、指揮をする音楽が、その瞬間は一番好きな作品」と語り、レパートリーの広さ故の、音楽に対する真摯な姿勢も一流だ。

  モーツァルトのピアノ協奏曲などの弾き振りにも積極的に挑戦。ピアニストの勘と指揮者の技術を両輪とする精緻な音楽表現は、他の追随を許さない。
「ピアノは自分と楽器のみの関係で、勘が使える。だが、指揮には知識とテクニックが必要で、しかも知識をジェスチャーで伝えなければならない。弾き振りは本当の指揮者にしかできない」

  ワーグナー解釈の第一人者といわれ、2001年にはイスラエルで、反ユダヤ主義としてタブー視されていたワーグナーを指揮し、衝撃を与えた。また、パレスチナ系米国人学者の故エドワード・サイードと共に1999年に創設した、「ウェスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラ」を通じて、アラブ諸国とイスラエルとの理解促進にも尽力している。「オーケストラが平和をもたらすわけではないが、人々の手本になることは可能だ。音楽や音楽以外の発言に耳を傾けることで、平等と尊厳の環境が作り出されていく」と強調する。

  2007年秋には初の中国公演、引き続いての日本公演など、世界各地を飛び回る精力的な活動は衰えることを知らない。

 

略歴

  1942  アルゼンチン、ブエノスアイレスに生まれる
  1952 両親とヨーロッパへ渡る
  1954 ザルツブルグでイゴール・マルケヴィチの指揮マスタークラスの最年少
メンバーとして学ぶ
ヴィルヘルム・フルトヴェングラーと会い、彼の前で演奏する
  1955-57 ナディア・ブランジェに学び、パリ・デビュー
ストコフスキー指揮のもと、ピアニストとしてアメリカ・デビュー、欧米で活躍
  1962 イスラエルのテル・アヴィヴで指揮者としてデビュー
  1964 ベルリン・フィルでピアニストとしてデビュー
初めてイギリス室内管弦楽団を指揮して成功。後にヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回り、73年には日本公演も行った
  1966 チェリストのジャクリーヌ・デュ・プレと出会い、1967年に結婚(-1987)
  1971-73 イスラエル・フェスティバルの監督を務める
  1975-89 パリ管弦楽団の音楽監督を務める
ベリオやブーレーズ、ヘンツェ、デュティユー、」武満といった現代音楽の作品にも取り組む
  1978 ベルリン・ドイツ・オペラに定期的に客演
  1981 バイロイト音楽祭でワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」を指揮、成功を収め、オペラ指揮者として不動の地位を確立
  1991 シカゴ交響楽団の音楽監督に就任
  1992 ベルリン国立歌劇場の音楽総監督に就任
  1999 中近東の若い音楽家のためのワークショップ、ウェスト・イースタン・ディヴァン・プロジェクトを開始
  2002 ベルリン国立歌劇場と来日して「ニーベルングの指環」全曲を上演
ドイツ連邦共和国功労勲章
  2003 ワーグナーのタンホイザー(ベルリン国立歌劇場)のCDがグラミー賞を受賞
  2006 エルンスト・フォン・シーメンス音楽賞を受賞
ベルリン・シュターツカペレベルリン国立歌劇場管弦楽団